山陽本線福山駅 12:29




 
 
 
 
臙脂色の袴姿で髪飾りを施されている若い彼女は背筋を伸ばして鏡を見ている。
 
映画「はいからさんが通る」の南野陽子みたいだ。白い日傘を持たせてみたくなる。彼女はたぶん知らないだろうなあ。


 
彼女が通った大学では、コロナウイルスの事情により残念ながら卒業式がなくなったらしい。その代わりのスタジオ写真である。
 
明るい笑顔を見せる彼女は4月から看護の仕事に就くという。もうちょっと学生をやっていたかったようだけど、そういうわけにもいかぬ。
 
きっと現実にぶつかりながらも、そのたいへんさを乗り越えてゆくだろう。「はいからさんが通る」の主人公もそんな感じです。知らないだろうけど。僕は写真を撮りながら、がんばってほしいと思う。
 
  
スタジオには花瓶に生けられた桜の花があって、新しい物語の始まりにふさわしいアクセントになっていた。

 

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