広島県廿日市市丸石 12:31
料亭の庭の向こうに桜が咲いている。
薄曇りの空の下で二十歳の彼女は屈託無く笑う。子どもが素直にそのまま大きくなりました、という感じがする。関西の大学で英語を勉強しているそうだ。
高校時代は生徒会に入っていたという。
会長のようなリーダー役なのか、それとも縁の下の力持ち的な裏方役なのか問うと、ちょっと考えて「真ん中で調整役でした」と答える。やわらかく見えて芯は強いのだろう。
家族四人で手をつないでジャンプしてもらった。高校生の弟くんも照れながらがんばってくれる。家族写真はいつ撮ってもいいものだ。
成人おめでとう。素敵な大人になってください。
撮影終わって駅まで戻る県道の途中、幅2メートルほどの細い道が、丘の斜面をゆるくカーブを描きながら伸びている。江戸時代は西国街道と呼ばれた道らしい。
途中に旧蹟があるわけでもなく観光客も来ないが、こういう地味な古い道が今も使われているのに「萌える」。
徒歩で旅していた先人たちはどんな景色を見ていたのだろう。そんなことを考えながらカメラバッグを提げて歩く僕がそもそも地味なんだな。