山陰本線玉江駅 14:47
萩の街は春の匂いがする。
丸い黄色い八朔を実らせた木が街のいたるところにある。これは植えているのか生えているのか。
すでに落ちてしまった実も数知れず。どうぞ持って行ってくださいといわんばかり。のどかすぎる。
初節句を迎えた赤ちゃんを主役に両家で会食。
依頼主のママからは歓談の様子を撮ってほしいと頼まれたが、やはり赤ちゃんだけの写真は撮らねばならぬ。
赤ちゃんはあまりご機嫌がよくなく、座らせたとたんに泣き出したが、あやしているうちになんとか笑ってくれてほっとした。今日は運が良かった。
一歳の誕生日で家族が集まってお祝いする光景は、結婚式みたいで微笑ましい。
これから先、子どもが増え、大きくなってゆくと、場の雰囲気も変わってゆくだろう。年を取るのは悪いことじゃない。
選び取りや一升餅など、一歳のイベント撮影も無事こなしてお店を出る。
通りに出るとそこは城下町の一角で、向かいには歴史のありそうな萩高校の校舎。今日は卒業式があったらしい。見れば学校の敷地にも八朔の木がある。生徒は誰も採って食べないんだろうか。
カメラを取り出し、駅に向かってゆっくり歩きながら写真を撮る。
萩に来たのは初めてだ。知らない風景が目の前で開かれてゆく。