阪和線南田辺駅 18:07
夕方の公園にいる人たちはみな、満開の桜に引き寄せられてきたんだろう。花の下でスマホを構えて写真を撮っている。
4月から小学生になる女の子は、真新しい制服の上着に「しょうがないなあ」という表情で袖を通す。入学式はまだ先だから。写真を撮るためだけに制服を着るのは、彼女の本意ではない。
同じ学校に通うお姉ちゃんも制服のはずだが、恥ずかしいのか頑として制服を着るのを拒んだらしい。
二人とも赤ちゃんのときから撮っているのに、気がついたらそんな年頃になっているのだな。
幼い頃はずっとカメラに慣れてくれなくて、毎回苦労しながら撮っていたのさえ懐かしい。二人ともすっかり成長した。
西陽の射す公園の中移動するとき、父娘が手をつないで歩いている。
二人ともおしゃべりすることもなく、ただ歩いているだけなのだけど、それが一番家族らしい「自然な」光景だった。
本人たちは意識することさえない、なんということのない平凡な瞬間。
それは横を歩いていたフォトグラファーから見たら、幸せそのもののように感じられたのだけど、どうでしょうかね。
「虹の足」(作:吉野弘)という有名な詩があるけど、写真を撮るのはそういうものかもしれない。
撮影終わって駅まで歩いていたら、道端に咲いてる桜の木の前で赤ちゃんを抱っこした若いママを、パパが一生懸命にスマホで撮っている。その家族もまた虹の足の下にいた。
大阪市東住吉区山坂 17:56
駅に向かう途中で赤ちゃん抱いて桜と写真撮ってる家族がいたので、スマホ借りて撮ってあげる。赤ちゃんを笑わせた写真を見たママが「すごーい!」と声を上げたので、名刺出して営業すればよかった。