阪急電鉄千里線北千里駅 9:54
二歳の誕生日を迎えた女の子は当然ながら僕を怖がって表情が固い。
そういうとき親はよく「恥ずかしいの?」と子どもに言うけど、子どもにとっては恐怖です。
だって知らない人がじっと近くで自分を見ている(カメラを向けている)んですよ。大人だってそういう状況があったら怖くないですか。
それがある瞬間から(あるいは徐々に)恐怖心が消えて、僕に関心が向かってくる。
それが写真を撮っていてわかるのが嬉しい。というか、ほっと安心するのである。
公園には一本だけ満開の桜の樹があって、朝が早かったせいか周りに誰もいない。
枝振りも低いから、まだとことこ歩きの彼女でも桜の花に触れられる。理想的。
遊んでいるうちにテンションが上がって、ひとときもじっとしていられない彼女は天真爛漫な子になりそうな気がする。
そういえば一歳の誕生日撮影のときもよく笑ってくれたっけ。
この笑顔のまま大きくなっていってほしいなあ。
撮影終わって駅まで急ぐ。2件目の撮影は和歌山なので、大阪を北から南へ大移動。
北千里から淡路に出て堺筋線に乗り換え。動物園前まで行き、JR新今宮から紀州路快速。和歌山に着いたら駅からバスで市内南部へ。
一本遅れたら遅刻というぎりぎりなスケジュールだったが、間に合ってしまうのは各鉄道会社の比類なき正確さのおかげ。ほんまに日本の鉄道はすごい。
最寄りのバス停で降りて横丁を覗くと、僕の昭和趣味に刺さる建物が並んでいた。これはこれは…と小さく息を飲む。さいわいに約束の時刻にはまだ少し余裕がある。遅れない程度に写真を撮ってから行こう。
朝の動物園前駅入口。