大阪環状線福島駅 12:00
ハレの日が晴れるとやっぱり嬉しい。
風のない穏やかな小春日和の中を、振袖の着物に身を包んだ彼女はベビーカーを押しながらやってきた。
二十歳の彼女には二歳の娘がいる。
まだあどけなさの残る彼女と並んで歩く様子は、母娘というより歳の離れた姉妹のようにも見える。
川沿いの遊歩道で撮影した。
ふだんアルバイトに明け暮れている彼女は、将来について考えを巡らす余裕はないらしい。
二十歳だからまだこれからだねと言うと、彼女はほんの少し空気を飲み込むように「もう二十歳……」と言いかけた。
もう二十歳。まだ二十歳。
見えているのは今と過去。過去に生きる必要はない。彼女は存分に今を生きているのだなと思う。それでいいじゃないか。
撮影が終わったら、久しぶりに同級生と会うのだそうだ。さぞかし楽しみだろう。
たくさん写真を撮っておしゃべりして、いい一日になってくれたらいいな。
成人おめでとう。