岡山市北区駅前町 13:04
撮影終わって尾道に帰る電車は、ボックスシートが残る115系のオリジナル内装車で、モーター音を響かせながら秋の陽射しの中を快走する。
一、二年のうちに新型の227系に置き換わることが決まっていて、機械らしさを感じる電車に乗れるのもあと少し。
子どもの頃から長く慣れ親しんだものが少しずつ消えてゆくのは、同じだけ自分も生きてきたということであるけれども、やっぱり寂しいものである。
プロフィール写真の依頼をいただいて、フリーアナウンサーをされている方の写真を撮る。
民放テレビ局でも働いていたことがあるそうで、ポーズや自然な笑顔も慣れたものである。
原稿を読んでいる体を撮るのに関係ない紙を持ってもらうと「いくらでもしゃべりますよ」と言う。
実際、よどみなく次々と言葉が紡ぎ出されてくるのには、月並みな感想ながら「さすがプロだなあ」と思う。
滑舌悪く声も小さく口下手な男は、ないものねだりでただただ彼女が羨ましい。
もうちょっとしゃべれる人生にしたかった。
山陽本線尾道駅 9:04 岡山市まで。