横須賀線久里浜駅 13:16
京急の赤い電車が横須賀を過ぎると、陽射しが出てきた。
雨予報だったのにこれは嬉しい。ところが撮影時間になるにつれて再び雨雲が空を覆い、七五三の祈祷が終わる頃には雨が降り出す。ぬか喜びであった。
白い羽織を掛けた五歳の男の子は二歳のときに撮ったきりだから、もちろん僕のことなど覚えていない。もうすぐ二歳になる妹ができていた。
二歳の頃の面影は残るが、すっかり男子になっている。五分刈りの頭にはTシャツ短パン虫取り網が似合いそうだ。
知らない場所で知らないフォトグラファーに写真を撮られるという状況にやや緊張気味であったけれども、遊び始めると「もう1回！」と何度も言うようになる。
雨が降り出して、一緒に祈祷した他の家族は帰ってしまい、パパとママは待合所代わりのテントの中に引きこもってしまうが、子どもたちは遊びたくて仕方がない。
傘をくるくるまわすと傘についた雨粒が飛んでおもしろい。
「やめなさい」とパパは言うのだが、境内には家族のほかに誰もいないからもっとやってと僕は言う。
神社という場所で遊ぶのはいけないのかもしれないが、神様に失礼でなければ子どもの遊びを止めてはいけないと思う。
ラストカットの撮影も「もう1回やる！」と言う彼をなだめて終わった。
子どもが「七五三楽しかった」と思ってくれたら、それが一番いい。僕だけでなく、たぶん親にとっても。
