可部線安芸長束駅 13:11
太田川の土手に面して鳥居が立ち、短い参道が伸びている。
春のような暖かさ。3月になったら土手に土筆が生えてきそうだ。
三ヶ月を過ぎた赤ちゃんは、概ねご機嫌で、途中でミルクを飲んだらほどなくして寝た。お宮参りとしては上出来である。
赤ちゃんが生まれて初めての大きなイベントを無事にこなしたパパとママは、ほっとしたように帰って行った。何事も「初めて」はたいへんなものです。初宮参りおめでとうございます。
撮影終わって、駅まで歩く。
もともと私鉄として開業した可部線は、線路の間際まで住宅が建ち並んでいる。駅前の細い通りに個人商店がまだいくつも残っているのを見ると、都会だなと思う。小さな大衆食堂を見つけてのれんをくぐった。
カウンターに座って飯を食べている先客がいるなと思ったら、それが店の主人であった。壁にはカープの優勝ポスターが何枚も貼られている。
店のテレビではちょうど「ポツンと一軒家」を映していて、そこには80歳の老夫婦が出ていた。その夫が85歳まで働きたい口にしたのを受けて、店の奥さんが「あんたも85歳まで働かんと」と言う。聞けば白髪の主人は84歳だという。「仕事しとらんとすぐにおじいちゃんになる」というが、年齢を感じさせない肌艶であった。
肉うどんの出汁にはわずかに柚子が入っていて、ちょっとしたこだわりを感じる。入ってすぐのガラスのショーケースには一品料理が並んでいたから飲みたくなったが、やっぱり我慢してしまう。昼間っから飲んだくれるおっさんになりたい。
食べ終えて汗をぬぐっていると奥さんが「風邪ひくからここで着ていきんさい」と脱いだコートの心配をしてくれた。嬉しいなあ。ご夫婦の写真を撮りたくなったよ。
お宮参りの写真