井笠バスカンパニー新倉敷-寄島線沙美 15:53
沙美(さみ)海岸に行くには新倉敷駅からのバスに乗る。一日6本で、土日は4本になる。
乗り遅れたら金光駅から1時間半歩けばいいので、それほど心配することはない。
土地の名前は「黒崎」なのに「沙美」というイメージ良さげな名前がいつできたのか、ネットで調べてみたもののはっきりしない。明治の頃に海水浴場として整備されたので、そのときだろうか。
もっとも、そういうことは結婚式の前撮りにはまったく関係なくて、付き合い始めてまだ1年という若い二人はカメラの前で屈託なく笑う。
どんよりした曇り空だったのが、つかの間雲が切れて青空が広がったのは幸運だった。
15cmヒールの靴を履いた新婦は支えられながらも砂浜をよく歩く。元気だなあ。
さざ波すら立たない瀬戸内の海は湖のように穏やかで、明るく二人を照らしている。結婚式は12月だそうだ。無事に佳き日を迎えられますように。
撮影終わって帰る二人を見送ってバス停に向かう。道端のコスモスが揺れている。
ひんやりした秋の空気が降りてきて、海辺の集落は歩く人の姿もない。
会社公認のハロウィン仕様車だった。担当した女性運転士さんの力作。天井から伸びる白い手が凝っている。「おばあさんなんかこれ見たら腰抜かすかもしれんですねえ」と言って笑う。こんなゆるい感じのバスに乗るのは楽しい。
井笠バスカンパニー新倉敷-寄島線沙美白浜〜沙美 15:53 帰りのバスが来た。行きと同じバスと運転士さん。午後4時を過ぎると、彼女はバスを停留所で止めて、壁に吊るしてある小さなランタンの灯りを点ける。たぶん、僕はこの運転士さんをTwitterでフォローしてる。