伊予鉄バス[18]砥部線椿前 12:32
まったく秋晴れすぎて暑いくらいだ。
バスを降りて交差点を渡ると神社の朱色の鳥居が彼方に見える。それを目指しててくてく歩く。
青空に羊雲が浮かんで気持ちよさそうだ。夕方5時までモーニングサービスをしているカフェの前を通り過ぎる。僕がたくさん食べられたら帰りに寄りたいところだが、たぶん松山駅のうどん屋さんでラーメンを食べると思う。
数え五歳の男の子は、ママと挨拶する僕を認めると険しい顔をして「いやだー」と離れようとするが、遊び始めるとすぐに笑ってついてくる。
それはそれでよい写真が撮れるのだが、七五三は定番カットを撮らねばならぬ。
すなわち千歳飴の袋を持って直立した記念写真で、これはなかなか苦労する。
彼は運動靴を履いていたのだが、これを脱がせて足袋と草履を履かせようとすると嫌がって泣き出してしまう。
こうなるとしょうがないので運動靴のままで撮る。
できない子もいつかはできるようになるもので、今年はまだ早かったというだけだ。
子どもは自分で勝手に成長してゆく。大人はおおらかに見守っていればいい。
天気のいい平日の神社には母子のほかに誰もいなくて、のどかな時間が流れる。
もっとゆっくり遊びたかったが、撮影終了時刻きっかりに帰りのタクシーを呼んであるということで、二人はあっさり帰ってゆく。
タクシーの窓から小さな手が振られて見えなくなり、またいつか彼に会う日があるのかどうか。