尾道 17:12



 

 
日が暮れるのが早くなって夏の終わりを感じる。
宿題に追われている子どもたちも多いだろう。
 
フリーランスのフォトグラファーには宿題がない代わりに税金を納めねばならない。コンビニで国民健康保険と市民税を払いながら、このお金があればミチコさんと二人で沖縄旅行に行けるのにと思う。もっとも猫が7匹いては一泊旅行すら難しいが。
 
ともかく、税金の負担感は大きい。年金は支給年齢が引き上げられるというし、払うばかりで恩恵を受ける実感はほとんどない。学校の宿題に勤しんでいたほうがよほどましだろう。少なくとも知識と学力が身につくのだから。
 
 
 
翌日の夜は馴染みの駅前の小料理屋さんに飲みにゆく。
だいたいいつ行っても繁盛している。今夜も小上がりはいっぱいで、奥の座敷ではサラリーマングループが宴会を開いている。
  
店を始めて50年経ったというマスターに、なぜ長く続けられたのか聞いたことがある。
「質を落とさんことじゃねえ」と彼は刺身を作りながら言った。「すぐにわかるけえね」

飲みながら深く頷いてしまう。
今夜もごちそうさまでした。おいしかったです。