山陽本線岡山駅 19:32
焼津から9時間で岡山に着いたら、まだ明るいうちから初対面のフォトグラファー二人と飲み始める幸せな時間。
お酒があればとりあえず気分が良くなる自分に感謝。一年間の酒代を節約すれば、きっとフルサイズの一眼レフが買えるだろうけど。
大阪のフォトグラファー出田さんと、寺川さん。二人は夏の間、日本全国出張無料の撮影を行なっている。
僕と同じようなことをやってくれる人がいるのは嬉しいものだ。
スタジオでしっかりと写真を撮るフォトグラファーもいるけど、僕の性分には合わない。ふらふらあちこち出かけてゆくほうが楽しい。なんでそうなったのかわからない。ありがたいと思うしかない。
出田さんに「写真好きですか」と聞かれて考え込む。
好きなのだけど、写真を撮りたいために撮っているのではない。写真は手段にすぎない。目的は、あえて言うなら「生きる」ということか。小説を書くように写真が撮れたらいいなあと思う。もうちょっと考えたいけど、すでに酒が入っている。
飲み終えて店を出る。外はまだ明るい。二人とも撮影のあとだというのに荷物が少ない。僕が両肩に下げている荷物の三分の一もない。身軽でいいなあと思うが、僕だとかえって落ち着かなさそうだから、今のままでいい。