鹿児島県大島郡与論町茶花 16:24
今日の結婚式はなんといっても天気に尽きた。
雲は多いながらも、ときどき陽射しが出る。なにより風がない。1月の南西諸島で、こんな天気は珍しいのである。
海に面したリゾートホテルは沖縄本島のそれに比べるとずっとこじんまりしていて、のどかだ。スタッフさんも殺伐としてない。
チャペルはなく、カフェにしている建物の中で人前式は始まる。
なぜ与論島で式を挙げるのかと尋ねたら、とくにこだわりがあるわけではなく、新婦のご両親の新婚旅行先であったとのこと。
そういうささいな理由でもなければ、おそらく訪れることはなかっただろう。与論島というのはそういう島である。
しかし縁というのはそういうもので、たとえ細い糸と思っていても、それが長く続くこともある。
元は空自の戦闘機乗りだったという新郎と、彼よりつ年上の新婦も、見えない糸でつながっていたからここに来たのだ。
リングピロー代わりにしたのは、ブルーインパルスのT-4の模型。ウェディングケーキには2機のF-15の模型が乗っていた。
ある時期に急に乗れなくなってしまったという彼は、まだ空に戻りたい気持ちがあるのかどうか。
今は別の仕事をしているそうだが、それはこの結婚のための神さまの導きなのかもしれず。
見えない糸を大事にして、末長く幸せになってほしいと思う。結婚おめでとう。
撮影終わって、個人経営っぽい小さなスーパーで夜ごはんを買う。
精肉コーナーには「鶏のたたき」が置いてあって、迷わず買う。昨日も買った。
与論島が鹿児島県であるおかけだ。鹿児島よりも沖縄に近いのに。
沖縄には鶏のたたきを売ってないから、食文化が与論と沖縄の間ではっきり分かれている。
おかげで夜のお酒が進みます。昨日は持参したウィスキーだったが、今夜はせっかくなので与論島唯一の酒蔵で作っている黒糖焼酎「島有泉」を飲もう。
与論島が鹿児島県なおかげで、昨日今日と鶏のたたきをスーパーで買って食べている。幸せ。
鹿児島から船で運んでいるらしく、昨日は入荷したてで半分凍ったまま店頭に並んでいたがそんなことはどうでもよい。仕入れてくれるだけで感謝である。
宿の近くの砂浜まで出かけてみた。太陽が雲に隠れてしまったので、浜には誰もいなかった。白い砂浜と青い海は、多少の違いはあれど沖縄でも他の島でも同じで特段の感慨はない。むしろ絶え間なく押し寄せる波の音が、瀬戸内の住人には新鮮に感じる。