東京都交通局梅70系統岸 12:50
初めて撮影に伺う家族である。
二歳の女の子が遊んでいる部屋に入ると子どもはびっくりして固まる。
こういうとき、親は「恥ずかしいのかな〜」などと言うがとんでもない。
よーく考えてみてください。いきなり部屋の中に知らない男が入ってきたら怖すぎるでしょう。
「写真を撮ってもらおうね」とか言っても、二歳児が理解できるはずもない。
子どもによっては泣き出すのだが、彼女はそれほど人見知りというわけでもなかった。
子ども以上に僕を警戒して娘にくっついているパパにどいてもらって、遊びに誘うとだんだん慣れてくる。
これが撮影で一番難しくて、彼女が僕に慣れてくれたらこっちのものだ。
子どもが笑えば親は安心する。
家の近所には江戸時代の庄屋であろう民家が保存されていて、その周りが緑の多い自然の公園のようになっている。
そこによく遊びに行くそうだが、家族は近々長野県に引越すそうだ。
また新しい生活が始まるのだろう。
おそらく女の子にとっては記憶にも残らない暮らしのほんの一部を写真に残す。
その写真に特別な意味があるわけではない。
たしかにそこにあった時間を教えてくれるだけである。
東北本線日暮里駅 8:25 久しぶりに東京の朝ラッシュの山手線に乗る。50センチの距離で向かい合う他人同士。よく毎日こんなことができるものだなと思う。かつては自分もできていたのだが、もうしんどい。尾道に帰りたい。
東京都武蔵村山市岸 12:36 本日の撮影終わり。二歳女の子の家族写真。親のほうがカメラを意識して緊張するだろうと予想した通りであった。撮影が始まるとパパに警戒される。子どもから離れてくださいと言ったら「大丈夫かなあ……」と不安げだったけど、子どもはすぐに僕と一緒に遊んでくれる。
箱根ヶ崎の「ラーメンショップ YAMANAKA」のラーメン。 髪を黄色に染めたおばあさんとふつうのおばあさん二人でやっている。すぐに熱々のラーメンが出てくる。「はいラーメン!」声に張りがある。この時世にラーメン400円だし。若者から年寄りまで地元の人たちがひっきりなしにやってくる。
通り過ぎようとしたら、中にケーキのショーケースが見えて立ち止まる。一見してなんの変哲もない建物。カーブミラーに隠れるように看板が出ていた。入ってみるしかない。 アイスコーヒーとチーズケーキを注文すると、老店主が丁寧に運んでくる。がらんとした店内。とても落ち着く。
久喜駅前の「クッキープラザ」で夜ごはんの買物。こういうネーミングを思いつける人はほんまにすごいと思う。 ちょうど月が上がってきて、行き交う人が立ち止まって満月の写真を撮る。日本人ならではの光景ではなかろうか。
本日の宿。
足利タウンホテル(栃木県足利市)
フロントにはぽつんとおばあさんが一人。チェックインのときに「6階に大きめのお風呂がありますから……」と控えめに勧められる。行ってみたらガラス張りの展望風呂。相客もいなくてとても気持ちよかった。