小田急電鉄小田原線喜多見駅 14:04
神社の拝殿の脇に梅の木が一本あって、子どもの上着のボタンほどの紅い梅の花がささやかに咲き始めている。
陽射しはないが、風もなく穏やかな日曜日の神社にはお宮参りの家族が次々にやってくる。
二ヶ月の双子の赤ちゃんを抱っこした家族は約束の時間きっかりに来てくれた。
大人たちが赤ちゃんにかかりっきりになっている間、四歳のお兄ちゃんは勝手に動き回るから気が休まらない。
こういうとはき赤ちゃんの写真を撮るより、まず彼と遊ばないといけない。
彼は人見知りする子で、はじめは目も合わせてくれないのだけど、遊ぶことで少しずつ距離を縮める。
二人の赤ちゃんがさいわいにもぐっすり寝ていてくれたおかげで、男の子と仲良くなる。
祈祷が終わって記念写真を撮るときに彼はまったくじっとしてくれないのだけど、遊びながらだとなんとか撮れる。
お宮参りでは神社だけでなく、家に帰って赤ちゃんを撮影する。
赤ちゃんが二人並んぶとじつにかわいいもので、おじいちゃんおばあちゃんも声をあげて写真を撮る。
広げた祝い着も女の子だから華やかさが二倍になる。
しかし、赤ちゃんが二人というのはやはりたいへんだ。
抱っこミルクおむつの無限ループで一日が終わるとママが言う。
双子用のベビーカーを買ったものの、都会のスーパーは狭くて通路をふさぐから買物に行くのも難儀するという。
赤ちゃんはかわいいけれども日々の苦労が察せらる。
「旅行行きたいけど、しばらくいける感じがしないです」
ですよねえ……。
どのお母さんにでも思うことだけど、自身の体を第一に労ってほしいです。
親が健康でなければ子育てもできぬ。
家の中では赤ちゃんの写真を撮る。双子は寝るときの顔の向きも一緒だったから撮るのに苦労する。
できれば顔を見合わせるように寝てほしいのに、二人とも同じ方向に顔が向くから、なんだか面白い写真になってしまうのですが。