尾道 16:55
近所の家の庭先に赤い山茶花の木があって、昨年から鈴なりに咲き続けている。
乾いた冬景色の中で、そこだけが場違いに明るい。
よくよく探せば、寒さの中でも花をつけている植物はいろいろあって、うちの猫の額ほどの庭のローズマリーにも小さな紫色の花が申し訳程度に咲いているのに気づく。
春が待ち遠しい。
先日近所のご住職を撮って、その写真ができたので額装して持ってゆく。
四つ切くらいに引き伸ばすと、写真の重みのようなものが感じられていいなと思う。やはり写真はプリントすべきだ。
昨今、写真はスマホの画面で見るものになっていて、自分で気に入った写真をプリントすることは少ない。
データをネットでいつでもダウンロードできるとなれば、一、二回スマホで写真を見てそれっきりということもあるだろう。
結局のところ、写真は「残る」んだろうか。記憶に。
インスタで見た流行りの写真を撮って満足しても、それは何年か後にも思い出せるものなのだろうか。
僕は仕事で撮った写真はお節介にもプリントしてお客さんに送りつけているのだけど、それはモノであるほうがより記憶に残りやすいのではないかと思うからだ。
プリントはいらないよ、という人もいるだろうけどたぶんこれからも送り続けます。
今はクラウドがあるから、スマホを失くしてもデータはどこかに残っているかもしれないけど、やはりプリントには質量がある。
写真を見たご住職は相好を崩して「いやあ、ロウソウが出とるなあ!」と声を上げる。
老僧?じゃないな老相か。写真を見て自らの老け具合に驚いたらしい。
誰しも鏡で毎日見ている自分の顔は写真で見るよりも若いから。