大井川鐵道大井川本線新金谷駅 16:26
暦はそろそろ大寒のはずである。
それなのに今日の東京の最高気温は15℃というのは一足飛びに春じゃないか。
冬は冬らしくあってほしい。暖かいのは助かるけれども。
今日は東京から名古屋に(各駅停車で)移動するだけ。
途中の金谷で降りて、木村やすみさんが始めた「かなや珈琲」に行ってみようと思う。
不定休なので念のためSNSを見たら、昨日の投稿で「また明日 いつもの時間にお会いしましょう」と書いてるから今日は店を開けているはず。
これだけチェックしておきながら、事前に来店を知らせておかないのは、確信犯的なサプライズのためである。
午後三時過ぎの金谷駅前は、電車から降りたわずかな乗客が各々家路につくと、車が時折通り過ぎるのみ。
15分ほど歩くと目指す店にたどり着く。建物は金谷宿の街道筋に面した立派な古民家である。中はリフォームしているのだが、黒々とした立派な梁などはそのままだ。
入口には看板とやすみさんが撮った写真が飾られている。
しかしおよそカフェという感じではないのは、「えがおの写真館」というフォトスタジオを兼ねているからなのだろう。というより、カフェはフォトスタジオの付属的存在であるようだ。フードメニューはなくてコーヒーのみ400円なのだもの。
やすみさんは慣れた手つきでコーヒーを淹れる。
ネルドリップでクセがなく飲みやすい。作家物らしい陶器のカップは程よい重さで手に馴染む。
これで400円は安いですよ。そう言ったのだが、やすみさんの本業はあくまで写真である。本人もそのあたりで悩んでいるようだ。
古民家らしい純和風の雰囲気を生かしたスタジオにしたらコスプレのレイヤーさんが喜ぶのではないかと思うが、やすみさんはやっぱり人が笑顔になる写真を撮りたいだろう。
出張撮影「えがおのフォトグラフ」
えがおの写真館インスタグラム
店の入口でごめんくださいと声をかけたものの返事がなく、もう一歩薄暗い奥に入ると僕に気づいたやすみさんが目を丸くして「おおっ」と驚きの声を上げる。黙って訪ねてきたかいがあった。
エプロン姿のやすみさんを見るのは初めてである。
やすみさんは体が大きい。つるんとした丸い頭をしている。
サングラスかけて黒髭をつけたらマンガ『シティハンター』に登場する「海坊主*」という人気キャラになれるなと思ったが、やすみさんは僕より世代がひとつ上だからご存知ないと思う。
*元傭兵の殺し屋だが表の顔は喫茶店のマスターという設定。坊主頭にサングラスと黒髭、白シャツにエプロン姿で登場する。