常磐線土浦駅 11:58

 
 
 
 
 
電車の窓には枯れて乾いた景色が広がっている。
トラクターで早くも田おこししている人がいる。三月になったら水が入って四月には田植えだろうか。寒空の下の春支度。
 
石岡で茨城空港行きのバスに乗り換える。
ラーメンが食べたかったので、駅周辺のラーメン屋を検索すると、駅前の大衆食堂が出てきた。カレーや定食のほかにラーメンも出すらしい。
 
駅前広場に面した緑の壁の建物はすぐにわかった。入口は引き戸である。僕の前に二人組みのサラリーマンがいて、入口の壁に貼られたメニューの写真を見てしばし逡巡していたが「ここにしますか」「ここでいいでしょう」みたいな目配せをして入っていった。
 
店の中は薄暗い。平日のお昼時だというのに客の姿がない。簡素なテーブルと椅子が壁に沿って並んでおり、先に入ったサラリーマン二人は浮かない顔をして稀勢の里の引退を伝えるテレビを見ている。
 
ラーメンを待つ間にもう一人サラリーマンが入ってきたが、店内を見回すと黙って出ていった。
   
奥で調理しているのはおばあさんである。その息子なのだろうか、くたびれたトレーナーにジャージ姿の中年の男がラーメンの丼を手に持って運んでくる。すでにコショウが振りかけられていた。
  

いわゆる中華そばという感じのラーメンである。僕にとってはだいたいなんでもおいしいので味の論評は避けるが、500円という値段相応かと思う。 
 
僕が食べ終えた頃、店の男は端のテーブル席にどさりと座るとタバコの箱を取り出した。彼のやる気のなさ加減がとてもいい。しかしタバコの煙は苦手なので、彼が火を点ける前に代金を払って店を出た。
  
今日の昼食には概ね満足である。