茨城空港 18:21
札幌行きの搭乗手続きが始まるのを待つ間、尾翼をオレンジ色に塗った訓練機やF15が離発着を繰り返していた。茨城空港は本来航空自衛隊の百里基地である。
滑走路が見渡せる展望デッキには望遠レンズつきのカメラで写真を撮る男が数人いて、トランシーバーのような機械で航空無線を聞いている。
僕は戦闘機には興味がないので、彼らの背中を眺めながら仕事する。
空港のフードコートは近在の人の溜まり場にもなっているようだ。僕の後ろのテーブルで老人二人が飛行機のことについてしゃべっていたのが、沖縄の辺野古の話題に移った。
「騒いでんのはデニーだけなんだろ?」「向こうの人で反対してる人はほとんどいないってよ」「(反対する人は)アレ、金もらってんだよな」「さっさと作って(普天間から基地を)移せばいいんだよ」
つまらぬ話を聞いてしまった。
大多数の内地の人にとって沖縄のことは他所事にすぎない。埋め立てに反対する意味がわかっていないし知ろうとも思わない。
沖縄でなされていることは、いつか内地に住む自分たちの身にも起こりうることなのだが、それを想像するのは難しいことなのだろうか。すでに国民に主権はないということを辺野古は教えてくれている。
新千歳空港からバスですすきのまで。
小雪が舞っていたのが、ホテルを目指して歩くうちにしだいに本格的に降ってきた。とりあえず寒い。