山陽本線東福山駅 16:33
朝は冷たい雨が降っていたのが、昼過ぎからは窓から暖かな陽射しが入るようになった。
学生時代から付き合ってきたという二人は、結婚式だからと気負うこともなく式をこなして食事を楽しむ。
若干眠たそうな新郎と、くるくるとよく表情の変わる新婦である。いい雰囲気だなあと思う。二人を見ているとなんとなく安心する。きっと二人の親御さんもそう思っていることだろう。
どうか末長くお幸せに。結婚おめでとう。
式場でもあるレストランの敷地には狭いながらも植栽の整った庭があり、せっかく晴れたのだから披露宴の後はそこで撮ろうと思っていた。
それをプランナーさんに伝えると「外には出られません」と言う。
しかし、今までに何度かそこで撮影したことがある。なぜかと問うと、近隣の住人(おそらく一人)からクレームが来るのだという。
新郎新婦の写真を撮るだけなので大声を出して騒ぐわけでもない。だがその人に見つかると、レストランの関係者はあとで一時間近く小言を言われるらしい。そのためやむなく庭での撮影は自粛しているという。
そういう理由とは思わず絶句した。
もとよりレストランの敷地の中である。誰の迷惑になるわけでもない新郎新婦の写真が、その人のクレームひとつで撮れないとは。
今や保育園の子どもの声や大晦日の除夜の鐘ですら苦情の対象になってしまう日本という国は、もうどこかで大きく間違っているとしか思えない。