山陽本線下関駅 10:26
夏の終わりを惜しむかのように電車は緑の中を走り、青色の瀬戸内海が右手に広がる。
昨晩は北九州の従妹の家に厄介になった。
彼女には高2の長女を筆頭に三人の子どもがいる。
二番目の長男は中学3年生。剣道をやっていて県大会でいいレベルまでいくらしい。
今夜は夜9時まで(!)稽古があるということで、そのついでに彼の写真を撮ってほしいと言われる。
それはべつにかまわない。お安い御用である。
ところが迎えに来てもらった駅から稽古場に行く途中で息子だけでなく、他の子どもも撮ってほしいと言い出す。
「パチパチって2、3枚でええけ撮ってくれん?」
これはツイッターとかでよく話題になる、やってはいけない依頼の仕方だ……。
当然2、3枚で終わるはずなく、300枚近いデータを半分までセレクトして納品した。100枚以上の写真をスマホでチェックするのはたいへんだと思うぞ。
剣道は初めて撮ったけど、打突の瞬間をきれいに押さえるのは難しい。
稽古を終えて家に帰ったら夜10時過ぎ。
彼の読書感想文の宿題がまだできてないというから、この夏2回目の読書感想文のお手伝い。
彼が読んだ本は吉野源三郎の名著『君たちはどう生きるか』。
想像通り読み込みが浅いが、それはまあ仕方がない。
彼自身の読解を助けながら自分の体験と結びつけて文章を作らせてゆく。はじめから僕が答えを出すと、本を読んだ意味がない。
主人公「コペル君」の名前に込められた意味を考えさせて理解してもらうと、彼は「おお!」とミステリーの謎が解けたような表情を見せた。
なんだか国語の先生になった気分。高校生のとき現代文「だけ」は成績が良かったです。
本を読むのは楽しいってことを知ってもらえたらいいんだが、この先、彼が読書を始めるかどうかはわからない。
それにしても、読書の苦手な子に読書感想文書かせる手伝いはなかなか面白い。これは仕事にできるような気がするな。
山陽本線小月〜埴生 10:53