中鉄北部バスかがみのコミュニティバス奥津温泉 15:19


 

  
旧型のバスに乗り換えて中国山地の奥へと分け行ってゆくと、分厚い雨雲が尾根にかかっているのが見える。
 
バスを降りると待っていたかのように雨が降り始めた。
 
津山駅から1時間かかったが、車なら30分くらいだろうか。
 
吉井川を挟んで長さ100メートルほどの集落と、同じくらいの旅館街があり、それが奥津温泉であった。もっとも旅館は数軒ほどしか残っていないようだ。
 
バス停はその中でも一番立派な旅館の前にあり泊まり客の姿が中に見えたが、通りはひっそりとして、一人で傘をさして歩いていた女性はすぐに横丁に消えた。
 
 
 
会社の採用試験で「自分らしい」プロフィール写真がいるというので依頼いただいたのだが、伺ってみると全身の写真が1カットあればよいらしい。バストアップの写真も撮ったがおそらく使わないのだろう。あまり興味を示さない。
 
最初に撮った写真でもう満足したようで、撮影は10分で終わってしまった。 
 
僕としてはラクをさせてもらってありがたいのだが、本当にいいんですねと念押ししてから辞した。僕のほうがなんだか不安になってしまう。
 
 
 
ともかく予定していた帰りのバスまでぽっかり時間が空いてしまったので、近くの道の駅まで行って地酒を買ったりして無駄遣いしてしまう。ヒマになるとロクなことがない
 
僕は知らなかったのだが、奥津温泉は古くからある湯治場のようだ。温泉以外何もなく、ぼーっとのんびりするにはいい場所かもしれない。
 
まあでも、また来ることはないだろうなあ。我が家は猫がいるからミチコさんと泊まりの旅はできないし。
 
道の駅は新しい国道沿いの小高い丘にある。
 
僕は緑に埋もれるような小さな温泉街を見下ろしながらそう思う。
 
 
 
山陽本線尾道駅 7:49 岡山県鏡野町奥津温泉まで。津山まで行き、駅からバスを乗り継いで1時間半かかる。


津山線岡山駅 9:27 キハ47の存在感。


津山線弓削駅 10:39 上り岡山行きにキハ120。いずれ置き換わるのだろうか。

中鉄北部バスごんごバス西循環線津山駅 11:55 津山市は意外にコミュニティバスが充実している。「ごんご」とは美作の方言で河童のこと。よそから来た人には何の意味だかわからない。「津山市内バス」とか一般的かつ平凡なネーミングのほうがよいような気がする。


中部北鉄バスかがみのコミュニティバスプラント5 12:52 バスを乗り換え。「プラント5」はショッピングモールの名前。日用品を買い込んだおばあさん二人が、よろよろしながらバスに乗ろうとするので卵とか入った買物袋を代わりに持つ。バスは車を運転できない高齢者の大切な足である。

岡山県苫田郡鏡野町奥津川西 14:26 本日の撮影終わり。プロフィール写真の撮影。会社の採用試験に「自分らしい写真」が必要なのだそう。そのわりに全身写真1カットのみでよいらしく、撮影は10分で終わった。5時間かけて来たのでなんだか拍子抜けした。



中部北鉄バスかがみのコミュニティバス奥津温泉 15:19 僕は知らなかったのだが、奥津温泉は古くからの立派な旅館もあり、風情のある湯治場であった。近くの道の駅でトマトとブドウと地酒を買って帰る。

中鉄北部バスごんごバス西循環線プラント5 16:06 津山駅行きのバスに乗り換え。またここに来ることもないだろうなあ。

津山口駅前で下車。古い民家があったので、ちょっと歩いてみる。用水路沿いの家は空き家に見えて、まだ住人がいるっぽい。それでもいつかこの昭和の景色も消え去ってしまうのだろう。









ピンクの壁に赤い屋根のおしゃれな家。こういう古い家に住んでみたい。雨漏りとかいろいろありそうだけど。


歩いていたら、髪がなんかもしゃもしゃする……と手をやったら蟷螂だった。どこから飛んできたのか。逃げずに肩に乗るから少しだけ一緒に歩いて草むらに放す。


津山線津山口駅 16:41 尾道に帰ります。明日はもう9月か。早いなあ。