京浜急行電鉄本線新馬場駅 18:11
あの焼けつきそうな暑い日々が本当にあったのかと思うほど、空気が涼しくなった。
また来年まで猛暑日はやってこないのだろうか。それだと嬉しいが、一抹の寂しさもある。夏が過ぎてしまうのは惜しい。
1年ぶりに会う彼は小学五年生。だいぶ大人っぽくなってきて、言い回しも子どものそれではなくなったが、持ってきたグミをもぐもぐ食べている姿は少年だ。
サッカーに夢中で、あちこち遠征に行っているらしい。
一緒に来たママが写真を撮ろうとすると、やっぱり恥ずかしがってふざけるのだが、最後はちゃんと二人並んで写真を撮った。
来年、また再来年はどうだろう。
まだわずかに残っている子どもっぽさは少しずつ影を潜めて、思春期のユウウツさが姿を表すだろうか。
「青旅」の撮影をリクエストされたが、もうちょっと大人らしさが見える頃に旅に行こう。
「オレ、ちょーポジティブなんだよ」って言ってたから、厨二病なんてかからなさそうだけど。
彼は夏休みの宿題はほぼ終わらせたのに、苦手な読書感想文だけが残っている。
彼が選んだのは課題図書ではなく、ファンタジー小説のような物語だった。
全文読んだと言うが、活字を目で追っただけであろう。
あらすじから書き始めさせてみたら、原稿用紙3枚全部があらすじになりそうだったので、途中で止めて消しゴムで消す。彼は不服そうに体を投げる。
読書感想文の手伝いは今回で3回目だが、それが苦手な子どもはそもそも物語を読めていないというか理解していないのに気づく。
わからないものを書こうとしても書けるわけがない。
だから、その物語の主題を読み解かせられれば、感想文は八割がた完成したようなものである。逆にそれがわからないと、テクニックのようなものを知っていても文章は書けないのではなかろうか。
僕は作文を手伝うというより彼の読解を助ける。
本来は学校の国語の授業で学習するものだと思うが、いろいろ難しいのでしょう。
彼はぶつぶつ文句を言いつつも集中力を切らさず3時間その物語と向き合って、主人公の問題を理解し、作者の意図する主題を把握する。そしてなんとか1200字の感想文を書き上げた。よくがんばったと思う。
正直なところ文章の完成度は決して高くはない。
しかし彼が自分で考えて書いたものであるのは間違いない。それが一番大切だ。完成された文章を切り貼りしたものになんの意味があろう。
ところでやってみて気がついたのだが、これは仕事になるんじゃないか……という気がしている。
もっとも、儲かるとはまったく思えない。
飽きっぽい子ども相手にオンラインでできるとは思えないし、対面で時間も取られる。
しかし読書感想文の手伝いは意外と楽しい。本を読み込む楽しさを子どもに少しでも知ってもらえるからだろうか。
東京都品川区南品川 17:49 本日の撮影終わり。小学五年男子の写真。それなりの年頃なので、恥ずかしいとか照れくさいとかあったと思うが、撮影につきあってくれるだけでありがたい。 撮影のあと読書感想文のお手伝い。来年はこれをもっとやってみようか。