しずてつジャストライン焼津大島線JA焼津支店 17:30
夏休みの子どもたちはとにかく時間が有り余っている。
ずっと家にいると親も子も息が詰まるだろう。
家族は車で30分ほど走ってぶどう狩りに出かける。今日は「とある日」の撮影なので僕ものんびり撮っている。
男の子はぶどうよりもカエルを捕まえるのに忙しい。彼は結局ひと房も狩ることなく、10匹ほど捕まえたカエルを袋に入れて持って帰る。
帰り道の途中でダイソーに寄ってパパが虫かごを買ってきた。それに入れ替えるようだが、カエルの運命はどうなるんだろうか。
午後は長い。幼稚園に通う男の子二人は庭に出したプールで遊び始めたが、小学生3年生のお姉ちゃんは夏休みの宿題をやらなくてはならない。難関の読書感想文である。
僕はカメラを置いて彼女の作文に付き合う。
もはやフォトグラファーというより家庭教師みたいだ。何をやっているのだろう僕は。
彼女が選んだのは僕の知らない児童小説だった。
マクラになる文章を書かせながらざっと斜め読みして、物語のテーマをつかむ。そんなに難しい話ではない。
彼女に質問を繰り返しながら、文章をつなげてゆく。
感じたことを文章化するのは、音楽やスポーツに似て反復練習で習得するもの。いきなり書けるわけはないのだが、感想文は完成させねばならぬ。
物語の登場人物がどう感じたと思うかという僕の質問に対して「ヤバいとおもった」と返ってきて、僕のほうが言葉に詰まったが、それをできるだけ彼女なりの理解力で展開させてゆく。
たぶんふだんやらない頭の使い方をしてたいへんだったろうと思うが、彼女は3時間かかってなんとか原稿用紙3枚の感想文を書き上げた。よくがんばった。
書き終えて、待ちかねたようにプールで水遊びする彼女を見ていると、僕も読書感想文書くのが嫌だったなあと思い出す。だらだらと書いて、文章を褒められたことは一度もない。
大人になってよかったのは、ユウウツな夏休みの宿題がなくなったことだ。