京浜急行電鉄本線新馬場駅 14:24
まだ小さな子どもだと思っていた少年は12歳。気がつけば母親の背を追い越そうとしている。
昨年よりも手足が長く伸びて、ひょろりとしたシルエットになり始めている。表情が大人っぽくなってきた
サッカーに熱中していて、中学生になっても続けるらしい。FWをやってるそうだが、彼の性格にはそれが合ってる。
あとはもっと食べて寝て体を大きくして、持久力をつければ申し分ないだろう。彼にその気があれば。
オプションで「読書感想文のお手伝い」をご注文いただいた。
感想文は授業で書くそうで、その下準備が夏休みの宿題になっている。
彼が選んだ本は『願いがかなうふしぎな日記』(本田有明著 )。
物語の主要テーマは、目標を言語化してそれを実現するために努力するというもので、それほど難しくはない。
しかし、作者はそれよりももっと大事なことを言いたがっているような気がする。
作中になんどか繰り返される「いけ光平」というフレーズは、まず一歩を踏み出す勇気が必要なのだと教えている。
彼がその本を選んだのは(たぶん)偶然だろうけど、なかなかその一歩を踏み出せない自分自身に通じるものがあったのかもしれない。
困難に向き合うのは彼自身。いつかその時が来るなら、彼は勇気を出してそれを乗り越えるだろう。
さしあたって彼の目下の課題は漢検とのこと。
読書感想文に漢検かい、もっと重大な試練のようなものはないのか、とツッコミそうになったが、そのままワークシートにそれを書かせる。
感想文の内容をドラマチックにする必要はない。感想文を書くのは彼なのだ。
なんとか予定していた時間内にお手伝いを終えられて僕はほっとした。