山陽本線福山駅 17:25

 
 


仕事で写真を撮っているときは、別の人格になっている。
 
そうないフォトグラファーもいるだろうけど、僕は少し変わってしまう。
 
どういう人格かと問われると答えに困るが、歌い手さんだってふだん話す声と歌うときの声は違うだろう。
 
福山のスタジオで前撮りするときも、カメラを構えて撮り始めると、それまで無口だった男がいきなり饒舌に喋り出すから、新郎新婦はびっくりするかもしれない。

そういうものです。
 


午前中に三原市にある吉原写場へ行ってきた。
 
明治時代から続く老舗の写真館で、立派なスタジオがある。
 
一昨日セルフで結婚記念の写真を撮ったけれども、スタジオでも撮っておきたい。スタジオの写真はちゃんとプリントしてくれるのがいい。

店主の吉原さんとは、尾道に住み始めてからの知り合いである。
 
もじゃもじゃの髪がトレードマークで、一見いかつい感じがするのだが、いたって優しい人である。
 
スタジオに入ると彼は暗めのスクリーンを選び、素早くライトの位置を整えて光を作る。その手際の良さはまさしく職人だ。
 
そしてカメラを台座にセットして撮り始めるのだが、そこで人が変わったかのように声のトーンが一段上がって、うん!うん!そう!いいねー!と声を出すから、ミチコさんは笑ってしまう。
 
やっぱり誰かに撮ってもらうのは楽しいし、面白い。