陸羽東線小牛田駅 14:36
西日を浴びる新庄駅はガラス張りで熱がこもって暑くて仕方がない。
外に出て、ようやくいくぶん涼しい風が顔に当たってほっとする。なんでこんな駅舎を建てたんだろう。冬だって晴れが多い地域ではなかろうに。
こじんまりとした新庄の中心部は静かだ。駅前に大型商業施設がないのも珍しい。
城下町ゆえか、かなり保守的な土地柄のような感じがする。市街地の周辺部にロードサイド型の店が並んでいる。
目指すホテルはグリーンホテルなのに、ホテルの壁はレンガのような赤茶色であった。
入ってみると狭いロビーの絨毯が緑なだけである。
フロントにはジャージ姿の初老の男がいて、名前を告げると台帳のようなものをめくって探し、次にカギを取ろうと背後の棚を探して見つからず、思い出したようにカウンターの上の名前の書かれた封筒から僕を見つけると、その中から部屋の鍵を取り出した。
どうやら宿泊客ごとに封筒に鍵を入れて準備していたのを思い出したらしい。
小さな旅館や民宿でたまに見かける方法だな。他の人の名前が書かれた他封筒は5枚ほどあった。
部屋に入ればまずバッテリーなどの充電、次にWi-Fiを探して接続。が、パスワードがどこにあるのか見つからぬ。
机の周り、部屋のドアを探してもそれらしいものがない。仕方がないからまたフロントに下りてスマホで電話している彼にパスワードを尋ねると、「ワイファイ?なんですか?」パスワードどころかWi-Fiそのものを知らないのに僕のほうが驚く。
「ちょっと待ってくださいね」彼は電話を切ると、また別のところにかける。おばさんぽい声が聞こえてきた。スピーカーホンになっているから相手の声も丸聞こえである。
電話の向こうのおばさんの声で、部屋の壁に貼ってあるらしい。探したんだけどなあ。
「オレも行ってみるから」彼は電話を切って僕と一緒にエレベーターに乗り込む。電話の相手は奥さんですかと尋ねると彼は苦笑しつつ「お局様がいるんですよ」と答える。
しかし、彼が付いて来たとて、Wi-Fiを知らないのでは、貼ってあるものの見当もつかぬだろう。
僕がもう一度ぐるりと部屋の壁を見回すと、ベッド脇の壁に名刺ほどの紙が貼られ、簡単なパスワードが印刷されていた。
部屋は大きな窓から西日が差し込んで明るい。
片隅に石油ファンヒーターが置かれているから、冬はかなり寒くなる部屋だと思われる。
小牛田駅近く「丸竹食堂」の中華そば。 周囲の店が軒並み盆休みの中、ここだけやっていた。注文してから運ばれて来るまでに10分以上かかったが、それが標準らしい。煮干しのスープ。チャーシューの代わりに鶏の肉。赤いものは紅生姜のかたまり。丁寧に作られているのに650円は安い。
本日の宿 グリーンホテル新庄(山形県新庄市) 部屋の中でWifiのパスワードが書かれたものが見つからず、フロントのジャージ姿のおっさんに聞いたら「ワイファイ?パスワード?70過ぎたらわからんのよ」と携帯で「お局様」に聞いてようやく判明した。
コインランドリーを尋ねたら、隣の建物の駐車場に片隅に案内されて「これ使って」。コイン式ではなくごく普通の家庭用洗濯機が3台並んでいた。しかしなぜか乾燥機がない。部屋の中に洗い終えた服を並べることになる。ゆるくて楽しい。