尾道 11:15
千光寺山の公園は風が吹き抜けて寒い。
そこに4歳から17歳まで6人の子どもたちと彼らの母親3人がぼんやりと僕が来るのを待っていた。
撮影依頼のメールには必要事項のほかに「いとこ達で写真を撮っていただきたいです」とだけ書かれていた。どんな写真を撮ればよいのかわからないが、おそらく依頼した本人もわかっていないに違いない。
春休みでいとこ同士が一同に会するので、とりあえずその様子を写真に残しておきたいのだろう。
始めは何も言わずに子どもたちだけで遊んでもらう。
しばらく見ていると小学生以下の三姉妹を、中学生と高校生の三人が遊んであげるという感じである。
中高生の三人はカメラの前ではもう無邪気な表情を見せない。
小さな三姉妹だけの写真を別に先に撮り、そのあとで一緒の写真を撮ることにした。こういうことはメールのやり取りではなかなか決められない。
6人の子らはみな仲がよかった。幼い頃からたびたび一緒に遊んできたのだろう。
桜を背景に笑い合う子どもらの写真を撮る仕事は幸せのひと言に尽きる。