山陽本線相生駅 15:18

  
 

 
静岡までならお昼に家を出てもいい。
 
朝、家にいると気が向いた猫がやってきて背中を掻けというから相手をする。猫というのはまったく自分勝手な生き物である。
 
 
 
静岡に着いたのは夜11時である。
 
駅の南口は僕が大学生だった頃と比べて様変わりして真新しい大きなビルが建ち並ぶ。 
 
しかし少し歩くと灯りは乏しくなり、すれ違う人もいない住宅地であるのは変わらない。その中に1970年代に流行ったパンタロンのようなロゴを掲げたホテルが現れる。
 
変わらないのはいいことだ。古くささから得られるのは言いようのない安心感である。重いドアを開けて薄暗い客室に入ると落ち着く。
  
机の上に置かれた「ティーバッグ」という文字がデザインされた緑茶のティーバッグは、茶どころ静岡で作られたものかどうかはわからなかった。