しずてつジャストライン中原池ケ谷線中野新田 16:14
結婚式の撮影を終えて尾道まで帰る。
静岡から近江平野にかけての田んぼには水が入っており、もうすぐ田植えが始まるのだろう。田畑の様相で季節の移り変わりを感じる。
写真と動画で結婚式を撮るのは忙しい。動画をいつでも撮れるように準備しておいてから写真を撮り始める。
挨拶やスピーチのときは動画用の三脚をしかるべき位置に据えて、録画ボタンを押してから写真を撮る。困るのは被写体があちこち動き回るときである。
新郎新婦の入退場シーンなどは、右手のカメラで写真を撮りつつ左手に持ったカメラで二人の姿を追う。
そんな二刀流だが、写真のシャッター回数は1600を超えたから、我ながらよく撮った。ゲストの年齢層が総じて若かったせいもあるかもしれない。
年齢層が上がれば必然的に披露宴の雰囲気は大人しくなってゆく。お酒を飲んで馬鹿騒ぎすることもないわけで、それはまあ当たり前のこと。
しかし二十代は違う。なんといっても勢いがある。お酒がはいって動きがさらに激しくなる。
新郎新婦がテーブルごとにビールサーブをしているときに前に出て来て踊り始める人がいる。それを仲間が連れ戻す。
ケーキ入刀とファーストバイトを外のテラスでやってるときに、酔っ払った人の腕と足を抱えて池に落とそうとしたりする。
そういうのは本来撮らなくてもよいのだけど、撮ってしまうのである。だって楽しそうなんだもん。
撮影終えて機材を片付けているところに新郎が来てタバコを吸い始めた。
「騒がしくってすいませんでした」と彼が言う。そんなことはない。披露宴は賑やかなほうがよい。お酒の入らないお通夜みたいな披露宴は息苦しくっていけない。
そんな彼も十年くらいしたら、今日の披露宴を懐かしく思い返すはずである。みんな若かったな、と。
結婚おめでとう。二人の思い出のお手伝いができてよかった。