尾道 16:49


 
 

結婚式はしないんです、という言葉を二人から聞いたとたんに、責任という重みが一気に増す気がする。
 
前撮りということで撮影をお受けしたのだが、撮影を始める前に結婚式はいつかと尋ねたらその答えだった。
 
  
それによって写真が変わるということはないのだけど、今日撮る写真がそのまま二人の結婚記念写真になると知れば、なんとかいい写真を撮ろうと思う。
  
 

千光寺山の中腹にある、古民家を改造したおしゃれなペンションから撮影を始め、ポンポン岩まで上がったあと、坂を下りながら写真を撮る。
 
海岸通りまで行き、向島へ渡船で往復して、また坂を上がってペンションにたどり着いたところで雨が降り出した。今日は運が良かった。
 

 
二人はもともと東京に住んでいたのが、彼の仕事がリモートワークで成立するらしく、彼女の実家に近い兵庫県に引っ越したという。
 
彼は東京に未練はないようで、マンションの部屋が広くなったのを喜んでいた。僕も同じような移住者として同感だ。いったん東京を離れて地方に移住すると、一気にQOLが上がるのである。
 
 

音楽を通して知り合ったという二人は静かに笑う。リラックスした雰囲気の彼女に比べ、彼はつねにぎこちない。でもそれが彼らしい姿なのだと思うから、その通りに撮る。
 
尾道の古い家並みと二人の姿がよく似合う。10年後くらいにまた二人をここで撮ってみたい。
 
結婚おめでとう。末長くお幸せに。