長崎本線肥前山口駅 8:06

  
 
 
 
長崎へ。
 
朝の電車には通学する高校生が乗ってくる。どの子も当たり前のようにスマホに目を落としている。見ているのはゲームかSNSか。
 
彼らの親世代である僕にとっては信じられないような光景だけど、彼らが大人になった頃、彼らもまた僕と同じようなことを感じるのだろうか。
 
 
朝は曇っていたが、有田を過ぎる頃から晴れてきた。
 
長崎行きの大村線の快速「シーサイドライナー」にはハウステンボス駅から大勢の観光客が乗って来ていっぱいになった。僕は老夫婦に席を譲って立つ。大村湾を見るにはそのほうがいい。
  
車窓の向こうに広がる湖のような海は青空の下で美しくたたずむ。
 
この風景を見せるためにJR九州の「ななつ星」は大村線に乗り入れるのだけど、こちらの車内の乗客はほとんど関心を示さず、早く長崎に着かないかと疲れた様子で揺られている。 
 
一泊数十万の列車に乗れば、大村湾の景色も価値を持つのだろうか。物事の価値というのはお金に換算してはじめて実感できるのかもしれない。