東北本線王子駅 11:38
「天気が雨だったらどうするんですか」とママは神社に向かう車を運転しながら僕に尋ねる。「昨日雨だったから心配で」
その心配は杞憂だった。今日は真っ青な青空だ。
ベビーシートで眠る赤ちゃんの顔に春の陽射しが降り注いでいる。
撮影は家のリビングで赤ちゃんの写真を撮るところから始まる。
五歳上のお姉ちゃんは妹を慈しむようにかわいがる。
顔も似ているし、仲のいい姉妹になるのだろう。
ミルクを飲んだ赤ちゃんは撮影が始まってほどなくして寝てしまう。
眠くてぐずりがちではあったが、起きているときに写真が撮れたのは幸運だった。
生後一ヶ月だと寝ている時間のほうがずっと長い。
結局そのあと神社に行って祈祷が終わってもまだ寝ていた。
桜はまだ三分咲きだが、せっかく咲いているのだからと神社の近くの公園まで足を延ばす。
抱っこされてすやすや寝ている赤ちゃんを家族で囲む。
それはやっぱり幸福な光景である。
写真を撮りながら家族が増えるっていいことなんだと思う。
ふだんはなかなか寝てくれない赤ちゃんと、幼稚園に通うお姉ちゃんの面倒を見るのに疲れてしまうだろうけど。(二人の小さな子どもを育てるのって本当にたいへんだ)
どうか赤ちゃんだけでなく家族みんなが健やかであってほしい。
ちなみに雨でもお宮参りや七五三をすることはあって、当然ながら大人も子どもも傘をさして神社にお参りします。
年に何回かはそういう日がある。
せっかくフォトグラファーを呼んだのにと残念に思われるかもしれないが、雨でもそれはかけがえのない家族の記念日であって写真はきちんと残るし、思い出になる。