尾道 12:33
彼女から「こんなのが撮りたいんです」とスマホに保存された前撮りの写真を見れば、いつも撮っているような写真が並んでいて、特段の驚きもない。
おそらくインスタで一生懸命に集めてきた写真なのだろう。
SNSには誰もが発信できる情報が集まっているが、結局のところ誰もが考えることはみな同じで、それらは画一的なものになる。
それは僕のようなフォトグラファーにとっても当てはまる。
独自性を見つけるのはとても難しく、またそれが理解され受け入れられるのは難しい。
まあ写真を撮るときにそんなこと考えなくてもいいのだ。
新郎新婦の二人にとっては、着物を着ること写真を撮られること、しまいには結婚すること自体が新鮮で、かけがえのない経験なのである。それをお祝いしたい。
関東のソメイヨシノは満開をとうに過ぎたろうが、尾道の浄土寺境内の桜はまだ五分咲きである。
色の薄い花びらは初々しい新婚の二人によく似合う。
どうか末長くお幸せに。
