日豊本線下曽根駅 19:39
長く闘病を続けていた伯母の具合がいよいよ思わしくないと従妹が知らせてきたので会いにゆく。
癌が骨髄に転移しているという。相当な痛みであるのだが、側にいる者はそれを想像するしかすべがない。
痛みを共有できたら少しは気持ちは和らぐだろうか。
15年前だったか祖母の死に際にいたときは、悲しいというより寂しいという気持ちであったが、伯母についてはただただ悲しい。
幼少時からよく会っていたせいだろうか。
歩くのも辛いほどの痛みだと思うのだが、叔母と庭に出て写真を撮った。祖母が好きだったというコブシの白い花が咲いている。
別れ難いが、結局3時間ほどいて帰る。
叔母はバス停に向かう僕が角を曲がるまで見送っていた。
バス停には大きな桜の木が一本立っている。その梢の上は薄暮の空、白く浮かぶのは半月。
願わくば花の下にて春死なむ その如月の望月の頃
西行の歌が自然に思い出された。
人も動物もみないつかは生の終わりが来る。冷徹なその事実だけが唯一の救いのように思える。
北九州市小倉南区沼緑町 18:47 母方の伯母に会ってきた。72歳末期癌、ターミナルケアに移行する。