山陽本線福山駅 15:30
いつもお世話になっているヘアメイクスタジオで前撮り。
結婚式をしない二人にとってはこれが結婚の記念になる。
物静かな二人で、とくに彼は落ち着き払っていてなかなか笑わない。僕もこういう男になりたかった。男は黙ってサッポロビール的な。
結婚にはそれぞれの形がある。
式を挙げる挙げないのも自由。二人で決めたことが正解である。
スタジオにはご両親も来て記念写真を撮る。
新郎新婦それぞれの家族ごとに撮るとき、彼には手を広げて両親の肩を抱いてもらった。
尋ねてみたら親子で写真を撮るのは何年ぶり、どころではない。最後に撮ったのは20年前か30年前か。
写真には穏やかな笑顔の三人がいる。
今日でなければもう撮ることのない写真というのが、じつは結構あるのだということを彼は知っているだろうか。
だから僕は撮らねばならぬ。
ああ、あれを撮っておけばよかったと、撮らずに後悔するのはフォトグラファーも同じです。