尾道 14:47

  
 
 
 
三原の歯医者さんの診察椅子に座っていたら、隣は虫歯の治療に来た五歳の子どもであった。
 
先生は子どもとその母親に、なぜ虫歯になるかについて懇々と説明している。
 
もう何年もそこに通っている僕は飽きるほど聞いているから、いつものトークが始まったなと思うだけだが、母親はなるほどうんうんと頷きながら聞いているようだ。

虫歯になりやすい要因とは、飲食の頻度である。
 
間食はまずもってよくなくて、飴を舐めたりジュースを飲むのもNG。
 
「お菓子は何が好きですか?」先生が子どもに尋ねてもうまく答えられないが、横から母親が「グミ好きだよね」と言う。
 
「口の中で液体化するのが一番ダメなんです。飴とかグミとか」さもありなんと先生は言う。

子どもが口を出す。「パパもたべるよ」

「パパはいいんです。パパの人生だから」
 
先生はドライだ。


 
虫歯の原因は他にもあって、長時間の食事もよくない。 
 
その子は食べるのに時間がかかるようで、家での食事は1時間くらいかかっているらしい。
 
先生はとにかく間食をやめて、シュガーレスガムを噛むようにと母親に伝える。そうすれば空腹を感じて食事も早くなるという。
 
至極もっともなことだが、五歳の子どもを相手にする母親はなかなかたいへんだろうと、隣で思う。
 
子どもが駄々をこねれば、ついお菓子を与えたくなってしまう。言うは易く行うは難し。
 
もっともだらだら長く食べるのは僕も同じで、毎晩飲み始めてから食事が終わるまでに1時間かかっている。ダメじゃん。