尾道 15:46

 
 

 
「ひまわり」で日用品を買い込んでレジで会計しようとすると、カウンターのキャッシュトレイにPayPayの画面が出たままのスマホが残っている。  
 
手に取って、サッカー台で買ったものをバッグにせっせと入れている女性に、スマホ忘れてますよと声をかける。「あ、すいません」退勤してきたばかりらしい彼女は紺色の制服姿で、それを受け取る。
 
ちなみに「ひまわり」は中四国地方の地元系ドラッグストアです。
 

 
僕が会計をしていると、品物を詰め終えた彼女は店を出る。 
 
ふとサッカー台を見ると、その隅に塩漬けウニの小瓶が残っている。「ごはんのお供」的なそれはさっきスマホを忘れていた彼女が買ったものではなかろうか。
 
レジのアルバイト君に聞いたら「さっきの人(が買ったもの)です」と言うから、とっさに渡してきます言って店を出ると、もう彼女は駐車場の向こうのほうまで歩いていたので、大声で呼び止める。
 
おきゃくさまー!と言えばよかったのだろうけど、僕もお客さんなのでとりあえずすみませーん!と声をかけたら振り返ってくれた。
 
無事彼女にウニの小瓶を渡して店に戻ると、ちょうど僕の会計が終わったところで、レジの彼は僕に「ありがとうございます」と言う。 
 
本来なら客の忘れ物を届けるのは店の人の役目だから、僕が渡しに行かなくてもよかったのだ。 
 

 
勝手な親切というのはときに迷惑になるのかもしれない。
 
それでもやらないよりはやったほうがいいんじゃないか、と思う。
 
たとえば総武線の千葉駅に電車が着いて折り返すとき、車内で爆睡したままの人の肩を叩いて起こす。 
 
起こさなくったって僕は何も困りはしないし、逆にせっかく寝てたのにと怒られるかもしれない。 
 
それでもたまには誰かにとっていいことになったりするだろうから。