芸陽バス田野浦線宮浦東 17:45
山陽本線尾道〜糸崎 14:56 三原の歯医者さんに行くところ。 ふと海を見ると、タグボートに牽引された白い客船。珍しいなあ→あれはまさかのロイヤルウィング!0.5秒で思い出した。 6月27日に横浜を出てはるばるここまで来たのか。結婚式の撮影で乗ったのは10年くらい前。おつかれさまでした。
2012年3月に横浜で撮影したロイヤルウィング。流線型の優美な船体である。
三原にある歯医者さんに行くのに、雨降りだから車ではなく電車で行く。
一般的には逆だと思うのだが、うちの駐車場は駅からさらに1kmほど遠い場所にあって自転車で行かないといけない。濡れずに済むのは電車のほう。
そんなわけで、尾道駅14時50分発の三原行きの電車に乗る。
電車は5分ほど走ると、東西に細長い尾道の市街地を抜けて海岸沿いに出る。
晴れていればきれいなのだが、瀬戸内海は雨で煙っている。
タグボートに曳かれた白い客船が、その灰色の雲の下をゆっくり進んでいる。
この辺りでは見かけない船だ。どこの船だろう。
そう思った次の瞬間に思い出した。あの船は「ロイヤルウィング」!
Twitterで「ロイヤルウィング」がトレンドワードになったのは数日前であった。
横浜港を周遊するレストラン船として長らく運航していた彼女は、船体の老朽化などを理由に引退が決まったのは今年のこと。
韓国で解体するため曳航されて横浜港を離れたのが6月27日。
横浜の大桟橋で30年以上にわたって見られた船がいなくなるということで、船好きでなくても話題にする人が多かった。
曳航されて港を離れるロイヤルウィングの写真や動画を見ると、懐かしさと寂しさを感じた。
フォトグラファーになりたての頃、結婚式の撮影でロイヤルウィングに乗ったっけ。
なにしろ1960年竣工の昔の客船だから天井が低い。
室内で撮影するときは、ストロボの光を天井に向かって放ついわゆる「天バン」が基本なのだが、船の天井が低すぎて遠くまで光が回らなかったり、近くの人物が白飛びしたり、とても苦戦したのを覚えている。
それからも大桟橋に行けばいつもいて、氷川丸とならんでヨコハマの風景の一部になっていた船であった。
いなくなるのなら、もう一度しっかり見ておけばよかったなあと思ったその船が、曳航されて海の上を進んでいる。
すぐに彼女は窓の後ろに追いやられて見えなくなった。
それでも会えてよかった。今日はいい日だ。
偶然というのはきっとどこかで縁がある。