仙石線仙台駅 17:18
夜行のフェリーの乗るのは久しぶりだから、なんとなくわくわくする。
仙台のスーパーで夜ごはんとハイボール用の氷と炭酸水も買ってきた。抜かりはない。
今は夏休みだから家族連れが目立つが、いつもはトラックの運転手がフェリーの主要顧客である。
彼らは船に慣れているから、車を車両甲板に停めたらすぐに酒を飲んで風呂に入って早く寝る。
というわけで、ロビーから人が消えて静かになってから飲み始める。
今夜はベタ凪の海で船はまったく揺れない。
関西から瀬戸内海を通って九州の門司に向かうフェリーは着くのが朝早すぎてしんどい。
福井県の敦賀から小樽に向かうフェリーは出港が夜遅過ぎて、ゆっくり飲める時間がない。
船に乗るためというよりお酒を飲むのに都合のいい航路を探すというのもなんだが、仙台から北海道の苫小牧に向かう太平洋フェリーなら、港を離れるときから飲めて、朝11時に着くからゆっくり起きても大丈夫だ。太平洋フェリー最高。
とはいえ、飛行機ではなくフェリーにしたのはちゃんと理由がある。
北海道で行われる今年のインターハイと日程が重なったのだ。
一ヶ月前にホテルの予約サイトを見たら、普通のビジネスホテルの空室がまったくない。
わずかに残った部屋もバカ高くて、僕は宿泊予約サイトの画面を見ながらアゴが外れた。
新千歳に向かう飛行機も高いしホテルも高いとなれば、18きっぷで仙台まで行きフェリーで渡道するのがもっとも安かったのです。
インターハイが北海道であるなんて、聞いてないよー。
半月の光に照らされた海を船は静かに進む。
照明の落ちたロビーのソファに座って飲む酒はしみじみおいしい。船はいいねえ。
高校生の団体が二組乗船。北海道でのインターハイに向かうのだろう。ユニフォームから三重高校と宇都宮文星とわかる。三重高メンバーは釧路まで行くらしい。遠路はるばるだが試合がんばれ。いい青春の思い出になるだろうな。