長崎本線佐賀駅 20:17
山里の夜は早くやってくる。
谷間はすでに日が陰り、東側の山肌だけが明るく照らされている。
両親の金婚式を祝う旅行に家族が揃うなら、もっと早い時間に撮影したほうがいいですよと言ったのだが、先方の都合で撮影が始まるのは18時である。
金婚式だから高齢のご夫婦だろうと思っていたら、二人ともとてもお若い。
話を聞くに、小中高と同級生で学生結婚したらしい。なんともロマンチックな展開じゃないか。
彼女ははつらつとチャーミングな方で、彼はその魅力に惹かれあったのだろう。
山あり谷ありの50年を乗り越えて、仲睦まじいお二人であった。
撮影場所は佐賀市の中心部から北に20kmほど離れた場所にある古湯温泉である。
駅からバスでも行けるのだが、撮影が終わる夜に駅に向かう上りのバスはない。仕方がないので佐賀駅の近くでレンタカーを借りた。
撮影が終わったのは夜7時過ぎ。返却時刻は8時だが、30分くらいで着くだろう。
一般的にレンタカーを返却するときは「満タン返し」である。
店員さんからは「どこ(ガソリンスタンド)で入れてもいいですよ」と言われていたので、駅近くのガソリンスタンドを検索して立ち寄るも、すでに明かりが消えて閉まっている。
3軒まわった。ことごとく閉まっている。
さすがにこれはまずい。4軒目、ここも閉まっていたら駅から離れたバイパス沿いのガソリンスタンドまで行かねばならないのかと思ったらそこは開いていて助かった。
三連休とはいえ日曜日だからだろうか。ご多分に漏れず佐賀も車社会だから、夜の市街地は閑散としている。
ガソリンを入れて営業所に戻ったのは8時1分であった。
佐賀県佐賀市富士町大字下熊川 19:24 本日の撮影も無事終わり。金婚式を迎えたご夫婦とその家族の写真。主役のご夫婦が思いのほか若くて元気だ。話から推測するに学生結婚したらしい。二人で歩いてきた長い時間を思い返して、ちょっと感傷的になっておられた。
佐賀駅南口の駅前広場にはキッチンカーが何台か乗りつけてビアガーデンみたいになっている。人が少なくてゆったりしたテーブル配置。佐賀はまあはっきりいって田舎なのだが、QOLは都会よりはるかに高いだろうと思う。