広島県尾道市久保 12:25
曇天の昼下がり。新開(しんがい)と呼ばれる尾道の歓楽街は眠っているように静かである。
港町ゆえ、かつては遊郭もあって賑わっていたらしい。
今も個性的なお店が多くてそそられるが、家から歩いて15〜20分くらいかかるので、なんとなくいつも行きそびれてしまう。
そこを抜けたところに浄土寺というお寺があって、階段を上がった山門から振り返ると海が見えるのが、僕は好きだ。
お宮参りを撮った子が七五三を迎えた。小紋の着物がよく似合う。
はじめはパパとママの手を握って離さなかったが、遊びに誘うと少しずつ馴れて笑ってくれた。
ママの叔母さんにあたる人は、もともとその仕事をしていたらしく、着物からのドレスチェンジで女の子の着付けやヘアセットをしてくれる。
「前は本通りに(着付けをしてくれる店が)2、3 軒あったんよ」と母上が言う。
今でもまだ残っているのかもしれないが、子どもの数は間違いなく少なくなっているから、寺社の多い尾道であっても七五三シーズンは静かに過ぎてゆくと思われる。
僕も同じで、尾道での七五三撮影は年に一度あるかないか。みな写真館やフォトスタジオで撮っているのだろうか。
いつも地元にいないフォトグラファーだから、声がかからぬのも仕方がない。