沖縄バス120番名護西空港線黙想の家入口〜名嘉真 15:31


 


 
 
今週の沖縄は天気が安定している。青空に白い雲が浮かぶ。
  
那覇から名護まで一般道なら約2時間。
明日は名護の外れにある結婚式場に朝8時半に行かねばならない。那覇から始発のバスに乗れば間に合いそうだったけど、名護に前泊することにした。早起きは、できれば避けたいタスクである。
  
名護で泊まるホテルは決まっていて、宮里そばの隣にある「白浜ホテル」である。
名前の通りかつては砂浜に面していたであろうが、いまでは埋め立てられて海は見えない。
 
築50年の木造2階建て。沖縄の日本返還前にできたためか、アメリカのモーテルのように各部屋のドアは外に面している。
白い外壁と琉球瓦の組み合わせが味わい深い。
 
客室は板張り。素足でいると新しいフローリングとは違う木の感触がいい。ユニットバスはコンクリートに丸いタイルが敷き詰められていて、最初に泊まったときに僕はこれだけで感激した。こんな浴室を持つホテルは日本ではここだけではないか。
 
ベッドを新しくしたのか、以前泊まった時にはあった古いラジオはなくなっていた。
 
    
宿は女将さんが一人で切り盛りしている。
昨年秋に泊まったときはなにやら内装工事していたスペースがおしゃれなバーラウンジになっていたので興味を示したら、「飲みに来てー」というので、暗くなってラウンジのドアを開ける。
  
振り返った彼女はカウンターのストールに座って白ワインを飲んでいた。
  
先客は地元の人らしきおじさんがオリオンを飲んでいる。酒棚を見るとさほど種類がない。ウィスキーは竹鶴とサントリーの角瓶のみ。ウォッカの瓶はあるが、ジンはないようだ。メニューはない。竹鶴だといくらするのかわからぬから角瓶にしておく。
   
手のひらほどもある大きなロックグラスがテーブルに置かれ、目の前でメジャーカップからウィスキーがグラスに入れられる。そして彼女は「しーぶんするといいらしいから」と言いながら、瓶から直接グラスにいくらか足し注ぐ。
 
どうもバーらしくない。ちなみに「しーぶん」は沖縄言葉で言うところの「おまけ」である。
  
彼女はどんな酒を置いたらよいのかわからないと言う。
ワインとシャンパンをこよなく愛しているが、そのほかの酒には興味がないらしい。人懐こそうな笑顔で「これ(バーラウンジ)は趣味だから」と言う。
   
もともと彼女の母上がやっていたこのホテルを5年前に引き継いだそうだ。それまでの十数年間はフランスでシェフをしていたという。仏語はもちろん外国人客相手に英語も流暢に話す。
      
おじさんとバラエティ番組を見ながら彼女はけたけたと笑う。バーというより茶の間で飲んでいるようだ。
   
テレビがCMになったタイミングでウィスキーのおかわりを頼むと、彼女は氷を代えたグラスと角瓶をテーブルに置いて行ってしまう。好きなぶんだけ入れていいって、なんだこれ。てーげーすぎてもう、大好きだ。