東京都千代田区丸の内 16:59






 
 
 
 
地下街は人で溢れて、尾道から来たフォトグラファーは東京だけが別の日本であるように感じる。
これだけの人たちはどこから来てどこへ行くのだろう。機材を抱えて歩く僕もその中の一人である。撮影を終えて大阪へ向かう。
 
 
東京駅を見下ろすデパートの最上階にあるレストランでの結婚式。
ゲストのほとんどが両家のご親族である。

会場に着いて挨拶もそこそこに、40名以上の親族集合写真を「どこでどう撮りますか」とプランナーさんから打診される。レストランゆえ、広いスペースがあるわけではない。その人数での集合写真を撮ったことがないらしい。
「(写真で)顔が分かればいいと思うんです」と、ソファーが置いてある一角を示されたが、親族集合写真はできればきっちりした並びで撮りたい。
 
挙式用のスペースに5メートルほどの長いベンチがあったので、男性ゲストはそこに靴を脱いで上がってもらい、さらに椅子を並べて…という提案を受けてくれたXEX東京さん、ありがとう。おかげで収まりのいい写真が撮れました。
 
 
メイクシーンを撮っているときに新郎が結びの挨拶をどうしようかと困っていた。差し出がましいかもと思いながら、小さくアドバイスする。
 
するとどうだろう。披露宴のお開き、彼は堂々とした声で彼女を妻に迎えようと思った気持ちを述べ、聞き入っていたゲストは力のこもった拍手でそれに応えた。
 
結婚式に集まった人たちは、彼のその気持ちが聞きたかったのである。いい挨拶であった。
結婚おめでとう。末長くお幸せに。