尾道渡船兼吉〜土堂 12:45


 

 
 
  
3歳になった女の子はママの手を握って離さない。カメラを向けると、ぷいっと顔をそむける。
それは悪いことではまったくない。それがその子なのである。
 
そういう子でも、1時間のうちに少しずつ少しずつ距離を縮めてゆく。
具体的な方法があるわけではない。気持ちは大事だけど気持ちの問題でもない。
  
強いて言うなら、共感と、仲良くなるのをあきらめないということか。
ママから手を離し、ふざける僕に反応してくれるようになってくれたら「やったあ」と思う。嬉しいものである。
 
 
撮影終えて、渡船乗場へ向かう途中にスーパーがあるから買物して帰る。
 
店に入るとカープの応援歌がずっと流れ続けている。
現在、優勝マジックは2。今日スワローズが負けてカープが勝つとセ・リーグ3連覇となる。すでに優勝セールの準備は整っているのだろう。
 
尾道に住むようになってから、それまでBクラスだったカープがCSシリーズに出るようになり、2年前にはついにリーグ優勝を果たした。
 
選手の名前すらほとんど知らなかった僕が試合に興味を持ち出したのも、カープの快進撃によるものだ。
 
カープはよく負け試合をひっくり返す。ヒーローインタビューで選手が「あきらめない」とよく口にする。そういう気持ちが勝負につながるのか。
 
そういえば、バスケットボールを題材にしたマンガで「あきらめたらそこで試合終了ですよ」という有名な台詞があったな。
 
スポーツだけでなく、何にでも通じる真理なのだろう。