北九州市営若戸渡船若松渡場 15:59

   



 
 
 
三歳女の子の七五三撮影。
 
神社に着くと家族はちょうど祈祷中であった。祈祷を終えてから撮影開始となる。ママは「どうしたらよいでしょう」と聞くが、僕もどうしたらよいのかわからない。祈祷したらみんなで並んで記念写真を撮るものだと思っていたのかもしれない。

まずはお参りするように歩いてもらう。かくれんぼする。そして記念写真を撮る。ちょっと時間が足りなかったようで、彼女はあまり笑ってくれない。
  
小さな子どもがいきなり現れた見知らぬ男にっこり笑うことはない。子どもの性格や気質を推し測りながら、距離を縮めていかなければならない。目の前の僕の存在を拒否する子だっているのである。
とりあえず無表情に僕を見つめる子どもを撮り始める。するとたいていの親はなぜか必ず笑う。笑う場面じゃないんだけどなあと思う。毎回、子どもとのファーストコンタクトには神経を使うのである。
 
撮影終えて若戸渡船で戸畑へ。子どものときに親に乗せられたとき以来である。当時は乗船料が大人20円子ども10円だったと思うが、今は100円子ども50円になっている。
渡船の乗場はひなびた雰囲気。ベンチに座ると昭和時代に戻ったかのように落ち着く。洞海湾を見回せば古いビルがいくつか残っていて目を引く。いずれは少しずつ消えてゆくのだろうか。身勝手な感傷と自覚しつつもこのまま残してもらいたい。
船は笛の合図とともに桟橋を離れて3分間の船旅の始まり。