岡山電気軌道後楽園線後楽園前 11:38





  
 
 
 
撮影スケジュールのカレンダーでは撮影場所を倉敷から岡山に変更していたにもかかわらず、頭の中の記憶を上書きしていなかった。
 
家族写真を撮るお客さんとの待ち合わせ時刻になってようやく気がついた。お詫びの電話を入れ、倉敷駅に急いで戻ってやってきた電車に飛び乗り岡山へ。今年最後の撮影で大ミスをやらかすとは。たいへん申し訳ないことであった。
 
 
岡山は晴れているものの凍るような寒さである。それでも着物を着た男の子は元気だ。岡山城を背にして立つ姿は小さな侍。僕は子どもに刀を持たせて撮る写真はあまり好きではないのだが、腰に差していればかっこよかっただろうなと思う。
 
彼とママとのツーショットを撮ろうとすると、彼は照れたように笑う。だんだんそういうことが恥ずかしいと思う年頃になってきた。「子ども」というより男子だ。子どもを抱っこできる期間は、案外短かったりする。
 
 
撮影終えて、かじかむ手で機材を片付けて岡山駅に戻るバスを待つ。やってきたのは岡電の「夢二黑の助バス」。車内外に黒猫のイラストが散りばめられている。今朝の失敗を忘れるくらいにテンションが上がった。