名古屋鉄道犬山線扶桑駅 15:58


  
 
 
 
 
一歳の誕生日を迎えた男の子は自分の好奇心の向くままに動く。楽しそうだ。
  
歩き始めたから自分の世界がどんどん広がってわくわくするのだろう。
 
僕にもそういうときがあったはずだが記憶のどこにもない。そのときの感覚をもう一度味わってみたいものだ。
 

  
ダイニングテーブルの上には開いた母子手帳があって細かい文字で書き込みされている。たしかハーフバースデーの撮影にお邪魔したときも同じものがそこにあった。子どもと一緒に過ごした今年はママにとってどんな一年だったろう。
  
たいへんなことばかりだったと思うが、子育ては先が長い。
 
子どもが成人して家を出て行き、夫婦二人だけの生活に戻る頃には今年の記憶はおぼろげなもにになっているかもしれない。
 
僕が撮る写真は、ママの今の気持ちを留めておけるだろうか。
  
できたらリアルな日常生活の写真を残してほしい。記憶にも残らない、けれどたしかに存在した日の記録として。