東京都交通局新宿線九段下駅 12:57
靖国神社は本殿も鳥居も修復工事中で囲いに覆われている。
見上げるほど大きな鳥居に足場が組まれているのを見ると、お金があるのだなあと思う。先だって訪れた埼玉県の鷲宮神社では古くなった鳥居が倒壊し失われて久しいが、新しく建てられそうな雰囲気はまるでなかった。
昨年五歳のお兄ちゃんの七五三を撮影し、今年は三歳の妹ちゃんの番である。慣れない着物姿で、すぐに飽きてしまいそうになるのを少しずつ遊びながら長い参道を歩く。
ご家族とは4年前からのお付き合い。あとで2歳になる前に撮ったお兄ちゃんの写真を見たら妹ちゃんの今にそっくりだ。やっぱり兄妹なんだなあと、親戚のおじさんみたいな気持ちになった。
4年前の写真。
撮影終えて、九段下の駅に向かう途中の小さな公園で腰を下ろして機材をしまう。狭い敷地には見上げるほど立派な馬上の軍人像が置かれている。銘板を見れば「元帥陸軍大将大山巌公」とある。
道ゆく人たちは、あたりを威圧するかのような銅像に気がついて「誰?」「大山巌か」などと呟いては通り過ぎる。(巌(いわお)が読めない人も中にはいたけど)
日清日露の戦争で活躍した人物であるが、同時代の乃木希典や東郷平八郎と比べるとやや地味な存在なのかもしれない。僕としては、彼が乃木や東郷と違って神様として祀り上げられなかっただけでもよかったような気がする。
人物を神格化するのは後世の人たちの都合に過ぎぬ。誰しも神様になろうとして軍人をやっていたわけではなかろうから。